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松永久秀、大仏焼き討ちを忘れたのか? 問題と、武田信玄がクリソツすぎて笑ってしまう件【麒麟がくる 満喫リポート】 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト - serai.jp

長谷川等伯筆の「伝武田信玄像」にクリソツの石橋凌演じる武田信玄。

ついに残り11話となった『麒麟がくる』。演者の熱量がいよいよヒートアップして、名場面が続出している。そして、今後の注目ポイント・安土城はどのような威容を視聴者に見せてくれるのだろうか。

* * *

ライターI(以下I): 2週前の当欄で〈長谷川博己の熱量半端ない〉とその熱演ぶりをクローズアップしましたが、今週の第34話では、織田信長(演・染谷将太)、松永久秀(演・吉田鋼太郎)、足利義昭(演・滝藤賢一)、筒井順慶(演・駿河太郎)、今井宗久(演・陣内孝則)、正親町天皇(演・坂東玉三郎)、摂津晴門(演・片岡鶴太郎)と主要キャストの熱演ぶりがビシバシと伝わってきました。

編集者A(以下A):今回を含めて残り11話。まさに座長・長谷川博己さん以下、チーム一丸になっているという印象でした。コロナ禍の困難な状況の中で撮影していることを思えば、感無量です。

I:その中で特に印象的な場面を振り返りたいと思います。

「それは聞かぬことにしておこう」

叡山の高僧をあえて逃がした光秀(演・長谷川博己)

A:冒頭、銃声から始まりました。コロナ禍で大規模なロケはできないわけですが、カメラワークでそれを補っている風でした。これには意外にも引き寄せられましたね。

I:スリリングな展開でした。でも私が気になったのは、明智勢で捕まえていた叡山の僧を光秀の意向で逃がしていたシーンです。織田勢がうようよしているところに放てば、結局ほかの織田勢に捕まって斬られるのではないかとヒヤヒヤしました。せめて保護してくれたらと。

A:光秀は、純粋でまっすぐな設定ですから、そこは意図的にそうしているのだと想像しています。その場面の直後に、黙っていればわからないのにわざわざ信長に〈私の一存で女子どもは見逃しました。お許しください〉と“自白”していましたから。Iさんの見方だと、光秀が逃した女性や子どももほかの織田勢に斬られたかもしれませんね。

I:信長は鷹揚に〈それは聞かぬことにしておこう〉としたうえで〈ほかの者ならその首、はねておくところじゃ〉と釘をさします。

A:〈以後は皆殺せ〉ともいってましたね。鬼気迫るシーンでした。にもかかわらず信長は光秀に2万石の領地を与える。光秀は帰蝶(演・川口春奈)とはいとこの設定ですから、身内として対応したのかもしれません。

激しい怒りを顕わにする将軍足利義昭

滝藤賢一さんの演技が光る!

I:ところで、今週も将軍足利義昭が怒っていました。

A: ついこの前(ドラマ上では2年前)の本圀寺襲撃事件の時などは、ブルブルと怯える姿を見せていたんですけどね。ブルブルしている義昭と今週の怒る義昭。それを見比べるだけで、信長と義昭の歴史がくっきりと浮かび上がります。滝藤さんの演技はさすがですね。私はNHKオンデマンドで本圀寺の場面を見直しましたが、「滝藤さんスゲー」としか言葉が出ません。惜しむらくは将軍義昭が、そういう状況に至る過程をもう少しじっくり描いて欲しかったですが……。

I:しかし、幕府では信長のことを徹頭徹尾「田舎者扱い」していますね。室町幕府は、自分たちでは兵を集められないから、衰退してきたんですけどね。

A:ここまで戦国期の室町幕府を濃厚に描いた大河ドラマは初めてなわけですが、そうなると、足利義満だったり、くじ引き将軍足利義教の時代も大河で取り上げてほしくなりますね。オリジナル脚本ではなく、原作小説もしっかり描いてもらっての10年計画くらいで取り組んでほしいです。

松永久秀の“どの口がいう”問題。

松永久秀(演・吉田鋼太郎)よ、大仏殿焼き討ちはどうなった!?

I:今週びっくりしたのは、光秀が対立する松永久秀と筒井順慶を引き合わせた場面です。一瞬、そんなのあり?という設定でしたが、吉田鋼太郎さん、長谷川博己さん、駿河太郎さんの熱演に引き込まれてしまいました。

A:設定の「あれ?」を演技力で強引にがぶり寄ってしまった感じですね。こういうの好きです。ここで興味深かったのは、松永久秀が光秀に対して〈大和は切り取り次第〉と信長にいわれていたのに、何故こんなことになるんだと怒る場面です。同様に〈四国は切り取り次第〉と信長に認められていたにもかかわらず反故にされた長宗我部元親という武将が出てくるのですが、なんとも意味深な場面でした。元親、『麒麟がくる』には登場するんでしょうか?(笑)。

I:私は、松永久秀が〈信長殿のことは好きだが〉とした上で、叡山焼き討ちに対して〈神仏をあそこまで焼き滅ぼすほどの図太さはわしにはない〉と言い放つシーンが印象的でした。東大寺大仏殿焼き討ちのことなど忘れてしまっているかのような口ぶりに、思わず〈どの口がいう〉とテレビに向かって言ってしまいました(笑)。

A:そのくらい図太くないと戦国をサバイブできないということでしょう。吉田鋼太郎さんの熱演で、松永久秀は実際にこういう人物だったのでは?と思わされましたね。しかも今週の松永久秀の台詞には名言もありました。

I:〈道を教える者を持たぬ者は、闇を生きることになるぞ〉と〈信長殿は何でも壊す。公方さまは古きもの、仏、家柄を守ろうとする〉ですね。

A:はい。特に前者はまさに現代にも通じる名言かと思いました。まさか、松永久秀からこのような教えを受けることになるとは(笑)。

武田信玄があの肖像画にクリソツな件

I:ところで、ついに武田信玄(演・石橋凌)が登場しました。天台座主覚恕(演・春風亭小朝)が甲斐まで逃げていたんですね。

A:石橋凌さんといえば、1989年の『武田信玄』では精悍な信長を演じていました。私は当時のイメージそのままに精悍な信玄が登場すると思っていましたが、思いっきり裏切られました(笑)。長谷川等伯の筆による「伝武田信玄像」やJR甲府駅前の武田信玄像にクリソツで、吹き出しそうになりました。

I:いい意味でやられたっていう感じでしたね。

A:大河では中井貴一さん(『武田信玄』1989年)や市川亀治郎さん(現・市川猿之助/『風林火山』2007年)が演じていましたから、逆に新鮮だったかもしれません。でもここで信玄が出てくるとなると、やっぱり「尺が足りない問題」が恨めしいですね。信長とは蜜月の関係にあった信玄がなぜ幕府側につくようになったのか、丁寧にやって欲しかったです。

I:またないものねだりを……。

A:そのほか正親町天皇が覚恕のことに触れる場面など、今週も見どころ満載でした。〈演者一丸〉となった熱量たっぷりのドラマは今後ますますスリリングになっていくと思われます。

I:しかもやがて登場する安土城は、すごいセットがつくられているという未確認情報があります。

A:いや、安土城は『麒麟がくる』放映前から楽しみにしていました。どんな形で登場するのか、楽しみですね。

●ライターI 月刊『サライ』ライター。2020年2月号の明智光秀特集の取材を担当。猫が好き。
●編集者A 月刊『サライ』編集者。歴史作家・安部龍太郎氏の「半島をゆく」を担当。初めて通しで視聴した大河ドラマは『草燃える』(79年)。NHKオンデマンドで過去の大河ドラマを夜中に視聴するのが楽しみ。 編集を担当した『明智光秀伝 本能寺の変に至る派閥力学』(藤田達生著)も好評発売中。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

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